ESSAY

ESSAY | ドラマティックスカートさえ、あればいい

私は、自分の気持ちをとびきり上げてくれるスカートのことを、「ドラマティックスカート」と名付けている。

コーディネートに並々ならぬこだわりがあったりするわけでもなく、毎月雑誌を全部読破するほどの徹底されたミーハーでもない私だけれど、なぜかその服自体の「生地感」や「色合い」、そして「柄」には超がつくほどこだわりがある。

 

この世の中には、クローゼットに並んでいるだけで”どこか心が踊る服”が存在する。

その服を着るという機会があるだけで、前日からなんだか思わずときめきが高まる服。
着替えて外に出たら、思わず鏡を探してしまうような服。
そんな服が、誰にだって1着くらいはあるのでは、と思う。

 

さて、この秋の気持ちが踊る服を、先日ようやく見つけることができた。

テラコッタ色をもっとぐーっと濃縮して、ほんの少しの光沢感とカジュアルさが共存する服。
そう、これこそまさに、私のとってのこの秋の「ドラマティックスカート」だった。

ほんとうはマットな黒の華奢なヒールのパンプスに合わせたいけど、
多分現実的にあわてて玄関で選ぶのは真っ白なスニーカーだろう。
平日の怒涛の日々にはちっとも手の込んだお手入れはできないけど、
忙しいことにかまけて雑に扱っても「やれやれ、仕方ないなあ」と、そのハリ感をちゃんとキープしながらおすましして、クローゼットに並んでくれるのだと思う。

 

誰にでも「ドラマティック〇〇」はある。

それが、道行く人たちと絶対にかぶらないような個性のある柄のシャツの人もいれば。
色とりどりで思わず見る人まで元気にさせるネオンカラーのスウェットトップスの人もいる。
誰もがみたら「え…全部同じ?」っていう黒のパンツコレクションかもしれないし、
旅行のどこかの国で出会ったアクセサリーかもしれない。

たとえばお守りみたいなものだけど、「これを身につければなんだか絶対的に気分が上がっちゃう」
そんな服、そんなアクセサリー。
その「ひとつ」は、いま、手元にあるだろうか。

 

日々現状が変わりゆく中で、
前よりおでかけがぐっと貴重になり、誰かと気軽に会うことがすこしだけ言いにくくなったこの時流の中で。
今だからこそ、今だからこそ。きっと、より叶えられる気がする。
誰かのために装うファッションから、自分のために装うファッションへ。
コミュニティのなかでの振る舞いから、自分の人生の主人公としてのふるまいへ。

 

きっとファッションは、そんなあなたを実現する手助けになる。

この秋のドラマティックなアイテムに、出会ってみませんか。